高齢者の事故はここ10年で減少傾向にある!

高齢運転者が起こした事故のニュースを見るたびに、「自分の親は大丈夫かな…」と不安に思う方は少なくないでしょう。

 

実際には高齢運転者の交通事故発生件数は10年の間で減っており、10万人当たりの免許人口を見ても減少傾向にあります。

 

それでも、高齢者による運転は事故が比較的少ない中年期と比べるとリスクがあるので、事故防止対策は欠かせません。

 

 

高齢であるほど事故を起こしやすい傾向にある


警視庁交通局によると、平成29年度における75歳未満の死亡事故件数は10万人当たり平均で3.7件と、45〜49歳の3.8件とほとんど変わりません[注1]。

 

しかし、75歳以上となると平均7.7件と急増します。85歳以上に焦点を当てれば14.6件となり、「年齢層別の死亡事故件数」の中では一番高くなるのです。

 

このように、年齢が高い高齢者であるほど死亡事故件数が多くなることがわかります。

 

 

🔲全体に占める事故割合も年々高くなっている

 

高齢であるほど事故を起こしやすい傾向にありますが、実際に高齢運転者による事故割合も年々高くなっているように見えます。

 

警視庁によると、平成20年において都内における高齢者の事故割合は11.1%でしたが、平成29年では17.9%になりました[注2]。

 

平成20年から29年にかけてその割合は年々高まっていますが、これについては高齢者人口自体が増えたことを考慮しなければなりません。

 

 

高齢者人口の割合増加で事故件数が減少しているように見えている


 

事故全体に占める高齢運転者の事故割合は高いのですが、これは高齢者の人口が増えている一因もあるでしょう。

 

総務省統計局によると、65歳以上の高齢者は1950年以降一貫して増加しており、2018年9月には3,557万人となっています[注3]。また、総人口に占める高齢者人口の割合は2018年には28.1%と過去最高です。

 

高齢者の事故は、加齢による身体機能や集中力の低下によるものだけではなく、高齢者人口の高さも影響しているでしょう。

 

 

🔲75歳と80歳以上の運転免許保有者も年々増加している

 

高齢者の人口が増えただけでなく、75歳と80歳以上の運転免許保有者が増えたことも事故割合の高さに影響しているでしょう。

 

平成28年度末の運転免許保有者数は約8,221万人ですが、このうち75歳以上の免許保有者は513万人に上ります[注4]。平成19年には283万だったことから、約1.9倍の増加です。これは、75歳以上の人口の約3人に1人が免許を持っていることになります。

 

また、80歳以上の免許保有者数も高まっており、平成19年には98万人でしたが、平成29年には221万人を突破しています。80歳以上に関しては約2.3倍に増加しました。

 

このように、高齢運転者による事故割合の高さは、高齢者人口と免許人口の高まりが影響していると考えられます。

 

しかし、高齢者の事故割合自体は高いものの、実際は高齢運転者の事故件数は減っている傾向にあります。

 

 

高齢運転者の交通事故発生件数は10年の間で減っている


高齢であるほど死亡事故件数を起こしやすい傾向にありますが、高齢運転者が第1当事者の交通事故発生件数は年々減少しています。

 

以下の表は、警視庁が発表している都内の高齢運転者交通事故発生件数です。

 

 

65歳以上の運転者(第一当事者)交通事故発生件数[注5]

平成20年

6,840

平成21年

6,883

平成22年

6,979

平成23年

6,923

平成24年

6,600

平成25年

6,341

平成26年

6,033

平成27年

5,806

平成28年

5,703

平成29年

5,876

10年の間で微増はあったものの、平成29年は平成20年と比べて964件減っています。

 

 

🔲免許人口当たりの死亡事故件数を見ても減少傾向にある

 

警視庁によると、免許人口当たりの高齢運転者の死亡事故件数においても減少傾向にあります。

以下の表は、免許人口10万人当たりの高齢運転者による死亡事故件数の推移です[注6]。

 

 

平成19年

平成29年

80歳以上の高齢運転者

20.9

10.6

75歳以上の高齢運転者

15.1

7.7

75歳未満の運転者

6.2

3.7

 

 

年齢が高いほど事故を起こしやすいということは変わりませんが、上記のどの年齢域でも、10年の間で死亡事故件数は半分近く減っています。

 

 

🔲事故発生件数や死亡事故件数が減少傾向にある理由

 

法令強化と遵守 :シートベルトの着用率、飲酒運転の減少

自動車技術の進歩:エアバッグ、ABS、衝突安全ボディー、先進安全装置の機能向上

医療技術の進歩 :24時間以内の生存率の向上

 

 

ブレーキ&アクセルの踏み間違いなど死亡事故の人的要因は年齢によって異なる


警視庁交通局によると、平成29年の死亡事故の人的要因は、75歳未満の運転者では安全不確認と内在的前方不注意、75歳以上の運転者では操作不適と安全不確認が最も多くなります。

 

操作不適であるブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故については、75歳未満は0.8%であるのに対し、75歳以上では6.2%と高水準です[注7]。

 

年齢域によって人的要因は変わるので、免許更新時の高齢者講習では交通事故対策として、夜間視力を測ったり交通ルールの再確認をしたりします。

 

 

🔲75歳以上になると車両単独による事故が増える傾向にある

 

平成29年の死亡事故の類型比較をしてみると、75歳以上の運転者は75歳未満の運転者と比較して車両単独による事故が多くなります[注8]。

 

工作物衝突において、75歳以上は21%であるのに対し、75歳未満では16%です。また、路外逸脱は75歳以上になると15%ですが、75歳未満ではたったの3%です。

 

工作物衝突については運転操作の誤りや前方不注意が原因で起こりやすいとされていますので、高齢運転者の傾向と重ねられるでしょう。

 

高齢になるほど運転時の操作不適などの不注意が多くなり、事故に繋がるリスクが上がります。また、ペダルを踏む筋力が弱るなど運転技能にも影響が見られやすいので、高齢者の事故防止対策は欠かせません。

「運転診断サービス」を受けるなど、ご自身でできる対策も考えていきましょう。

 

 

 

[注1]平成29年における交通死亡事故の特徴等について 年齢層別の死亡事故件数(免許人口10万人当たり)|警視庁交通局[pdf]

https://www.npa.go.jp/toukei/koutuu48/H29siboubunnseki.pdf

 

[注2]防ごう!高齢者の交通事故! 運転する方へ 高齢運転者交通事故発生状況(平成29年中)|警視庁

https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/smph/kotsu/jikoboshi/koreisha/koreijiko.html#cmsC45AD

 

[注3]1.高齢者の人口|総務省統計局

https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1131.html

 

[注4]平成29年における交通死亡事故の特徴等について 3-1-2 高齢運転者による死亡事故に係る分析(その2)|警視庁交通局

https://www.npa.go.jp/toukei/koutuu48/H29siboubunnseki.pdf

 

[注5]防ごう!高齢者の交通事故! 運転する方へ 高齢運転者交通事故発生状況(平成29年中)|警視庁

https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/smph/kotsu/jikoboshi/koreisha/koreijiko.html#cmsC45AD

 

[注6]平成29年における交通死亡事故の特徴等について3-1-3 高齢運転者による死亡事故に係る分析(その3)|警視庁交通局

https://www.npa.go.jp/toukei/koutuu48/H29siboubunnseki.pdf

 

[注7]平成29年における交通死亡事故の特徴等について3-1-7 高齢運転者による死亡事故に係る分析(その7)|警視庁交通局

https://www.npa.go.jp/toukei/koutuu48/H29siboubunnseki.pdf

 

[注8]平成29年における交通死亡事故の特徴等について3-1-6 高齢運転者による死亡事故に係る分析(その6)|警視庁交通局 

https://www.npa.go.jp/toukei/koutuu48/H29siboubunnseki.pdf