高齢者があおり運転の被害に遭わないために行うべき3つの対策

2018年に内閣府が発表した資料によると、2017年度における車間距離不保持を筆頭とする「あおり運転」の取締件数は6,139件であり、1日あたり約17件が検挙されている計算です。[注1]

 

また警視庁が発表したデータによると75歳以上の運転免許保有者数は年々増加しており、今後高齢ドライバーがあおり運転の被害となる事案が増加するかもしれません。 [注2]

 

今回は、高齢ドライバーがあおり運転の被害に遭わないために行うべき3つの対策を紹介します。

 

 

1. もみじマーク(高齢運転者マーク)を車に付けて運転する


「もみじマーク(高齢運転者マーク)」は表示している車両の運転者が高齢であることを示す運転者標識の一種です。本マークが付いている車両に対しては、一般の車両は幅寄せや割り込みをしてはならないことになっているので、もみじマークを表示して運転すれば危険なあおり運転の被害に遭うリスクを低減できます。もみじマークは運転免許試験場や免許更新センターに限らず、ホームセンターなどでも購入可能です。

 

もみじマークは満70歳以上のドライバーが表示対象であり、加齢による認知能力や操作能力などの低下が円滑な自動車運転の障壁となる場合があることを周囲に知らせる役割があります。ただし本運転者標識は70歳以上のドライバーが必ず表示して運転しなくてはいけないという道交法の義務ではなく、対象者は表示して運転するように努めるべきという規定です。[注3]

 

そのため70歳以上のドライバーが車にもみじマークを表示せず公道を運転したとしても、罰則や罰金は科せられません。もみじマークは「赤・黄」の2色からなる旧デザインタイプ、「黄緑・緑・オレンジ・黄」の4色からなる2011年2月以降に発行された現行デザインタイプの2種類が存在しますが、どちらのデザインも高齢運転者マークとして同一の効力があります。

 

 

🔲もみじマーク表示車両へのあおり運転は罰則金5,000〜7,000円

 

上記のように、もみじマーク表示車両に対する「幅寄せ」や「割り込み」は道交法によって禁止されています。事故回避などの正当な理由なく、もみじマーク表示車両に対して危険なあおり運転を行った場合は道交法違反として罰則金5,000〜7,000円(車種によって変動)、および違反点数1点が累積されるのです。

 

もみじマークや若葉マーク、肢体不自由マークなどを表示している車両は瞬時的な交通状況判断や運転操作が苦手であるため、道交法における初心者運転等保護義務の対象となっています。これら運転者標識を表示している車両は周囲の交通状況が突然変わると危険を回避できないリスクが高いため、該当車両に対する幅寄せや割り込みといったあおり運転は禁じられているのです。

 

あおり運転を行った場合は一定の罰則金と違反点数が累積されるため、運転者標識は交通マナーの悪いドライバーに対する抑止力として機能します。そのため高齢ドライバーはもみじマークを車に付けて運転することで、あおり運転の被害に遭うリスクを低減できるのです。もみじマークは地上から40cm以上、120cm以下の周囲のドライバーが認識しやすい位置に表示しましょう。

 

 

2. 車にドライブレコーダーを設置してステッカーを貼る


 

車両の前方および後方を撮影できるドライブレコーダーを設置し、通販サイトなどで販売されている「ドライブレコーダー設置車両」や「ドライブレコーダー撮影中」といったステッカーを貼ることで、周囲にいるドライバーのあおり運転を自制する効果が見込めます。また実際にあおり運転の被害に遭った場合、ドライブレコーダーによって撮影した映像を証拠として提出して立証することも可能です。

 

ドライブレコーダーを設置・撮影している旨が記載されたステッカーは公安委員会や警視庁などの公的機関が管理しているものではないため、道交法における効力はありません。しかし実際にはドライブレコーダーを設置していなくても「ドライブレコーダー撮影中」といったステッカーをリアバンパーやリアウィンドウガラスに貼ることで、後続車による車間詰めやパッシングといったあおり運転を抑制する作用があります。

 

 

🔲あおり運転の抑止策としてドライブレコーダーが全国的に普及しつつある

 

ドライブレコーダーは事故の記録立証に限らず、あおり運転の抑止策として全国のドライバーに普及しつつあるのです。2018年に東京新聞が報じた資料によると、2017年に起きた東名高速道路で危険なあおり運転を起因とする2人が亡くなった交通事故を契機にドライブレコーダーの国内出荷台数は急増し、全国の警察でもあおり運転に対する取り締まり強化がなされたとされています。[注4]

 

東名高速道路の一件では事故が起きる直前、亡くなった2人が乗っていた車はあおり運転の被害に遭っていたことが周囲の車両に設置されていたドライブレコーダーから立証されています。先の事件に倣ってドライブレコーダーの有効性を訴求するメディアも多く、あおり運転の様子が記録されたドライブレコーダーの映像提出によって車間距離不保持などの摘発が行われるケースも少なくありません。

 

そのため悪質なドライバーが車間詰めや幅寄せを行おうとした際、相手車両のリアガラスなどにドライブレコーダーが設置されていることがわかれば、あおり運転を自制する心理にシフトさせることが可能です。ただしスモークガラスは車内の様子が見えづらくドライブレコーダーの設置有無を外部から判断することが困難なため、ステッカーを貼ってドライブレコーダーを設置している旨をアピールしましょう。

 

 

3. あおり運転を誘発させる原因となる運転を控える


頻繁にあおり運転の被害に遭う場合、自らがその原因となる迷惑な運転を行っている可能性があります。「単純に苛ついていた」など身勝手な理由からあおり運転を行うドライバーも存在しますが、自身の強引な割り込みや急ブレーキなどで相手のあおり運転を誘発してしまうケースがあるのです。

 

自身は安全上問題ない運転と認識していても、他車からすると危険・挑発的な運転と判断されることがあり、自身が日頃どのような運転を行っているかは客観的に判断しなくてはいけません。また高齢ドライバーは認知能力の低下から、車間距離を詰めてしまう、車線変更時にウィンカーを出し忘れるといった他車の迷惑となる運転を無自覚で行っている場合があります。

 

特に、制限速度よりも実際の交通の流れが大幅に速い道路は、制限速度で走ろうとすると、「むやみに遅い車」と勘違いされることがあるので、不要な場合はなるべくこういう道路を走るのは避けるのも有効でしょう。

 

 

🔲高安診で身体能力の衰えや運転の安全性を客観的に診断する

運転における認知能力や身体能力の衰え、運転の安全性などを客観的に判断したい場合は「高齢者安全運転診断サービス(高安診)」で診断を受けましょう。高安診ではドライブレコーダーを活用した映像分析、チェックシートによる交通状況ごとの診断評価で対象ドライバーの運転を客観的に分析します。

 

高安診での映像分析におけるドライブレコーダーは、複数カメラを搭載したものであり、車両前方に加えてドライバーの視線やハンドリングといった内部の様子も撮影します。そのため交通状況ごとにおける運転操作と連動した認知・判断の能力も可視化でき、ドライバーの運転の癖や不安全なポイントを分析可能です。ドライブレコーダーで撮影された映像からチェックシートにて交通状況別の認知・判断・操作、アクセルやブレーキを踏む強さなどが評価診断されます。

 

診断結果から安全に問題がある運転であるか客観的に判断できるため、家族が高齢で「最近運転が荒くなった」や「軽微な接触などを繰り返すようになった」という場合は高安診の受診を検討しましょう。高齢な家族が高安診を受けて安全に問題があると診断された場合は、客観的な事実から運転免許の自主返納を勧める、運転を止めてもらうといった適宜な判断ができます。

 

 

あおり運転の対策を講じて高齢な家族が事故に遭うリスクを抑制しよう


あおり運転の被害者は焦りや不安から運転において適切な判断・操作を行えず、重大な事故を起こしてしまう場合があります。高齢者はスムーズな判断や操作が行えないことが多々あるため、日常的に運転を行う家族が高齢である場合、あおり運転の対策を講じた事故の予防策が重要です。

 

 

[注1]内閣府:平成30年交通安全白書

https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/h30kou_haku/zenbun/genkyo/h1/h1b1s2_5.html

 

[注2]警視庁:第5回 高齢者の移動手段の確保に関する検討会[pdf]

http://www.mlit.go.jp/common/001233746.pdf

 

[注3]警視庁:自動車の運転者が表示する標識(マーク)について

https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/smph/kotsu/mark/mark.html

 

[注4]東京新聞:東名あおり、社会に影響 取り締まり強化、ドライブレコーダー普及

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018121402000262.htm