「そろそろ両親には車の運転をやめてもらいたいが、言っても聞かないだろうしどうしよう…」
運転免許の自主返納は、高齢ドライバーのご両親をお持ちの子世代が感じる大きな悩みとなっています。
しかし、交通事故全体に占める高齢ドライバーの事故割合は年々増加しており、高齢ドライバーの事故割合は、平成20年には11.1%でしたが、平成29年には17.9%と、20%に迫る勢いです。[注1]
大切なご家族には、安心・安全な老後を過ごしていただきたいですよね。
円満に免許を返納していただくためには、ご本人が「不安全な運転をしているかもしれない」と自覚し、納得していただくことが大切です。
配慮のない免許返納の悪影響をご紹介し、円満な免許返納のためには高安診の「高齢者安全運転診断サービス」などの客観的な診断が重要なことをご説明します。
高齢のご両親に無理な免許返納を迫ると起きるかもしれない3つの悪影響
個人差はありますが、高齢になると下記の理由から危機の発見が遅れ、さらに瞬時の判断と対応ができなくなるため、事故へ繋がると考えられます。
・注意力や集中力の低下
・瞬時の判断力の低下
・過去の経験にとらわれがち
・動体視力の衰え
・反応時間の遅れ
実際に高齢ドライバーによる事故発生の要因は、「発見の遅れ」が83.5%と最も多いようです。[注1]
それでは「両親が高齢になったら免許を返納してもらえば良い」と考えてしまいますが、それがなかなか難しい現実もあります。まず、高齢ドライバーの多くが、約80歳までは車の運転をしたいと考えているという調査結果があります。[注2]
年代 |
免許を返納しても良いと思う年齢 |
65〜69歳 |
76.8歳 |
70〜79歳 |
79.7歳 |
80歳以上 |
82.5歳 |
全年代 |
79.1歳 |
さらに、75歳以上の約80%が「車の運転に自信がある」と回答しています。[注2]
年齢が高くなるほど、ご自身の運転を客観視することが難しくなっていくことを示しています。
「あぶない運転」をしているかもしれない自覚のない方にいきなり免許返納を迫っても拒否反応が起きるのはある種当然とも考えられます。
以下ではご本人の納得がないまま免許返納を強行した場合に起きる悪影響の例を3つご紹介します。
▶悪影響1.無理に免許返納を迫ると家族との関係が険悪になる
高齢者の免許返納がなかなか進まない背景には、「高齢者が免許返納を必要と感じていない」ことが考えられます。
前述したように高齢になるほど運転には自信があると回答する方が増えているように、運転能力の衰えを自覚される方は少数派のようです。
また、子世代の80%が高齢の両親に対して「運転が危ない」と伝えていますが、親世代では75.9%もの方が「運転が危ないと伝えられたことはない」と回答しています。[注2]
子世代の注意喚起は親世代にはあまり届いていないようです…。
それでは強い口調で運転免許の返納を迫ったとしたら何が起きるでしょうか。
当然、喧嘩になります。
例えばある50歳代テレビタレントの方も、認知症のお父様から車のキーを取り上げるために羽交い締めにして倒した、という経験を公表しています。
さらに、認知機能が衰えるほど説得がより難しくなってしまいます。適切な時期に、客観的データを見てもらって不安全な運転が自分自身の問題だと分かっていただくことが大切です。
▶悪影響2. 急に運転をやめて認知症が進む
やみくもに免許返納を強行した場合、認知症が進むというリスクもあります。
運転は「見る、判断する、操作する」ために脳をフル回転させています。これをやめることで脳の機能を一気に低下させてしまう恐れもあります。
さらに、運転することは「外出する、人と会う、話をする」など、脳を活性化する活動に繋がっています。
これらを一気に断ち切ってしまうことは高齢の方にとって認知症を悪化させるリスクとなります。
そうならないために、免許返納は十分な配慮をしながら進めたほうが良いでしょう。
例えば、徒歩や公共交通機関を利用して行けるシニア向けのコミュニティセンターを紹介し、車がなくなった後も社会と繋がっていける段取りをしておくと良いですね。
日常生活で新たな趣味や地域の活動に参加できるようになっていれば、免許返納後の生活がスムーズになるでしょう。
▶悪影響3.生活の足がなくなり引きこもりのようになってしまう
高齢ドライバーが免許返納に難色を示す理由の1つに、地方では車を運転しないと生活できない現状もあります。
警視庁が行ったアンケートでも、自主返納しようと思ったことがあるドライバーの約7割が、返納をためらう理由として「車がないと生活が不便」と回答しています。[注3]
地方では、日常の買物、病院、知人やお孫さんの送迎など、車が生活に欠かせないばかりでなく社会との繋がりとなっている場合が多いです。
運転をしていた頃は社交的でお元気だった方が、免許返納後は家でボーッと過ごすようになり、人が変わったようになってしまう、ということもあります。
引きこもりのような生活では脳への刺激もなく、心身の衰えも出始めるように。
そうならないためには、免許返納の前にご家族で話し合い、子世代が親世代を定期的に送迎する約束をしておくと良いでしょう。ご家族が遠方に住んでいて送迎が難しい場合は、電動車いすの利用や、自治体が提供する免許を自主返納する高齢者を対象とした外出支援の活用を検討してみましょう。交通機関利用の際に割引を受けられます。
社会的にも、高齢者の移動手段の確保は課題となっています。
円満な話合いのために診断サービスを利用し運転能力の現状を理解してもらう
親世代に免許返納を促すためには、ご両親の生活や気持ちに配慮し、お互いが納得できる形で進める必要があります。そのためには、ドライバーもその家族も客観的に運転能力の現状を把握することをおすすめします。
高安診の診断サービスでは、ドライブレコーダーを使って前方と車内の映像を記録します。前方の映像のみを記録するドライブレコーダーに比べて、ドライバーが運転している車内の映像を記録すると
・安全確認しているか
・運転操作が適切か
・運転中によそ見をしていないか
など、ドライバーの運転を把握する行動を、より詳細に確認することができます。
ドライバーもその家族も円満に、免許返納を考えるきっかけのために、どの様に運転しているかを映像で見直してみませんか?
※クリックすると再生が開始します
[注1]警視庁/防ごう!高齢者の交通事故
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/koreisha/koreijiko.html
[注2]NEXCO東日本/【家族みんなで 無くそう逆走】
https://www.e-nexco.co.jp/family_nakusogyakuso/gyakuso-report/archive/
[注3]警視庁/運転免許証の自主返納に関するアンケート調査結果[pdf]
https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/koureiunten/kaigi/3/siryoh/shiryo4.pdf
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